こどものための博物館 キッズプラザ大阪

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遊びと学びの取り組み

小さな子どもたちの「かがくあそび」...豊かなあそびの姿

みなさん、こんにちは。

小さな子どもたち(※)と「かがく」の出会いの場をつくっている、岳川有紀子です。

今回は「虹のへや」や「虹であそぼう」で出会った子どもたち、そして保護者のみなさんの様子をご紹介します。

※1:主に就学前のお子さんを想定していますが、小学校低学年のお子さんも楽しめる工夫をしています。

「かがくあそび」で大切にしていること

「かがくあそび」には、「こうしなければならない」という決まりはありません。けれど、私が企画や実践のときに大切にしていることが3つあります(下の図をご覧ください)。

岳川2025年 ホームページ掲載コラムの図 - コピー.jpg

あわせて、私が心がけているのは、「かがく」だけの世界にならないようにすることです。なぜなら、私たちが暮らす世界は教科ごとにきっちり分けられるものではなく、いろいろなことが混じり合っている「ごちゃまぜ」の世界だからです。

たとえば「虹のへや」や「虹であそぼう」では、さまざまな光によって作られる虹を見つけたり、自分で虹を作ったりするだけでなく、

・見たことや発見したことを言葉や絵で表現すること

・数や形に気づくこと

・「虹のような光の色」が昆虫や文房具、身近なものなどにもあること

・しくみに興味をもつこと

・国や人によって虹の色のとらえ方が違うこと

など、さまざまな視点で「虹」と出会えるように工夫しています。

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「虹であそぼう」や「虹のへや」で見られた子どもたちの姿

初めての空間、時には少し暗い空間でも、保護者の方と一緒だからでしょうか、「やってみたい!」という気持ちをすぐに行動に移す子がたくさんいます。やってみて、よく見て、発見して、それを保護者の方に伝える――。そんなやりとりが何度も繰り返されています。「虹のへや」は滞在時間10分程度を想定して設計しましたが、長いお子さんでは一時間近くも遊び続け、私にとっては嬉しい誤算です。

探索で見つけた虹をスケッチするコーナーでも、長い時間、集中して描き続ける子が多く、子どもたちの観察力や表現力に私自身が驚かされます。保護者の方からも、

「こんなに集中するなんて」

「絵は苦手なのにスケッチは描けていてびっくり」

といった、わが子についての新しい発見の声が寄せられました。

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保護者と子どもが一緒に遊ぶ時間の大切さ

普段は「見守り役」の保護者の方々も、「一緒に遊んでくださいね」とお声かけすると、「どれどれ」と夢中になって遊んでくださったり、子どもに教えてもらって「そうなんだ~」と驚いたりする場面も。子どもが「教える役」になったときの、目を輝かせた誇らしそうな表情は、とても頼もしく見えます。

園や学校では、子どもと保護者が一緒に過ごす機会は少ないですが、キッズプラザ大阪では同じ空間で経験を共有することができます。参加された保護者の方からいただいた感想――「子どもが自分で発見したことを、一緒に体験して共感できました!とても楽しかったです」の言葉は、とても印象的でした。

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経験がつながっていくことを願って

子どもと保護者の方が一緒に「発見」し、「驚き」、そして「楽しむ」――そんな姿がたくさん見られる「虹であそぼう」と「虹のへや」。こうした経験は、子どもたちの、この先に広がる豊かな学びの世界への道しるべになると考えています。キッズプラザ大阪での経験が、家に帰ったあとも、日常の会話や遊びの中で息づき、続いていくことを願っています。


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岳川 有紀子(たけがわ ゆきこ)
こどもサイエンスプランニング代表

元大阪市立科学館主任学芸員(化学担当)。「私たちが暮らす"ごちゃまぜの世界"の中にこそ、化学(科学)のおもしろさがある!」と考え、展示やプログラムの開発、研究に取り組んできました。現在は、保護者と一緒に遊びながら自然に探索が生まれる"小さな子どもたちのためのかがくあそび"の環境づくりを企画,実践しています。また大学教員として、ミュージアム等でのインフォーマル教育を学校教育(フォーマル教育)に活用する方法を、学生とともに考え、挑戦しています。
ホームページ&コラム https://www.child-science.com/

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